地方へ出張したり、旅行したりするとき、よく地方百貨店を見にいきます。
県庁所在地の一等地に、ドーンと構える本店を見上げると、まるでお城の天守閣を観光しているような気分になるからです。つい、一地方を領国として支配する「戦国大名」へ、イメージを重ねてしまうのです。
また、その多くが一時の隆盛が終わり、斜陽産業として風前の灯と化しています。そこに、「滅びの美学」を見出だしてしまったりもするのです。時代の移り変わりにより、やがて消えてなくなっていく運命に、たまらなく心ひかれてしまうのです(すんません、まだそう決まったわけじゃないけど)。
一時期、買い物をして紙袋を集めようとしたことがありました。でも、できませんでした。だって、買いたいものが全然無いから・・・あ、だから斜陽産業なんですね(おっと、しつれい!)。
・・・ まあ、そんなこんなで、できるだけ寄った際は写真に撮るようにしています。ただ残念なことに、店内の情景を撮るのは、さすがに憚れます。なので外観だけでもお楽しみいただければと思います。
金沢一の繁華街・香林坊にある「大和(だいわ) 香林坊店」へ行ってきました。
ルーツをさかのぼると、大概は江戸時代にまでたどり着く他の地方百貨店と違い、こちらは明治創業の新興百貨店が故に、出店を阻止しようとする地元商店街と激しい闘争を繰り返してきたようです。その結果、北陸三県の流通界を征した歴史は、まさに「北陸の覇王」。金沢だけあってか、暴れん坊で有名な戦国大名・前田利家を彷彿させます。先週行った、「山形の巨人」大沼とは性格がまったく異なるタイプのようです。
さて、店内はというと、斜陽地方百貨店にあるような「暗い照明」「低い天井」「高齢でダミ声の女性店員」の3点セットがなくて、なかなかの高級感というか、金沢らしい雅な雰囲気に包まれていました。「二子玉川にある百貨店」と言われても、錯覚してしまう雰囲気でした。ただ、疑問なのは屋上につながるプレイランド。どこにでもあるゲームセンターが必要なのかな、と。
5階にある、「不室屋カフェ」でひと休み。慶応元年創業というお麩の老舗のようです。こういう店があると気分良くなります。季節の栗あんみつを注文してみました。お麩の店らしく、麩わっとした軽い味でした。
現代の潮流に乗り遅れることなく、雅な中にも若々しさがあり、当分、覇権は続くでしょう。 他の二店舗、富山店、高岡店にも行ってみようと思います。