世界の富裕層はイベントを求めて一年を同じスケジュールで旅するといいます。1月はスイスのサンモリッツにスキーへ、5月はモナコにF1観戦へ、7月は夏の日差しを求めて地中海のイビサ島へ、8月はオーストリアのザルツブルク音楽祭、11月にはフランス・パリの凱旋門賞へ、というように・・・。これを「ハイライフカレンダー」というのだそうです。
これと同じように、わが国のアマチュア野球界にもハイライフカレンダーがあるのをご存じでしょうか?4月、9月は神宮球場に東京六大学野球観戦へ、7月は東京ドームに都市対抗野球観戦へ、8月は甲子園に高校野球観戦へ、11月は京セラドーム大阪に社会人野球日本選手権へ、最後、神宮球場にもどって明治神宮野球大会を観戦しに旅することをいいます。
日本人にとってみれば、こちらのほうがよっぽど贅沢な旅ではないでしょうか?少なくとも、ぼくにはそう思えて仕方ありません。
さあ、最高の贅沢を求めて、「アマチュア野球界のハイライフカレンダー」に沿って出発です!
ここは白球を追い続けた野球少年の終着駅、
嗚呼、哀愁の都市対抗野球・・・
決勝戦は、「横浜市・三菱重工EAST」対「仙台市・JR東日本東北」という近年まれにみる地味ジミ同士対決・・・じゃなかった、有名選手や派手さはないものの粘り強く勝ち上がってきた同士対決になりました。
まずは腹ごしらえから。今日は東京ドームカレーを選んでみました。(ああん、神宮球場の神宮スタジアムカレーと、何が違うねん)おっと心の声です。普通の中の普通のカレーといった感じ。
観客席から場内を眺めていると、すっかり様変わりした光景があります。わたしが観戦を始めた2009年、ビールの売り子たちがたくさんいて、通路が渋滞になり観戦の妨げになるほどでした。サラリーマンのおじさんたちも、それを買い漁り巨大居酒屋になっていました。この人たち野球も観ずに何しに来ているのだろう、と呆れたものです。その後、会社では若者のアルコール離れや、接待費の減額、コロナ禍による飲酒禁止が続き、すっかり酒飲み文化が衰退していきました。その世相を反映して、いま目の前では、ビール売りの女の子は半数もいないし、呼び止めて注文するサラリーマンもかなり減っています。あれから15年、サラリーマン文化の栄枯盛衰をここから体感できるのも社会人野球の醍醐味だったりするのです。
三菱!三菱!三菱!三菱!三菱!三菱!三菱!
先週、日本通運の「われら6発」には驚かされました。しかし、それを上回る7発を計上。どれだけ三菱愛が強いのか。でも、こっちにも「我ら」が3発きています。応援歌の世界ではメジャーな言葉なのでしょうか。
仕事帰りの社員が動員されるので、万の会社員が集まることになります。試合が終わると、その万がいっせいに駅に向かうので、横断歩道、信号待ち広場がアッという間にワイシャツ姿で埋め尽くされていきました。事情を知らなければ異様な光景に見えるようで、通りすがりの人たちが口あんぐりで見送っていました。
いつも最後に見るものー、
楽しかった「真夏の夢の祭典」の終わりを告げるものー、
帰り道、この灯りを見ると、ついつい感傷的になってしまいます。そして、心に誓うのです。いつか、ここに泊まりながら、全12日間・全31試合観戦してやる、と。朝ここから歩いてドーム入りし、10時開始の第1試合から18時開始の第3試合まで観戦して、ここに帰ってくる、と。こんな贅沢な旅はないでしょう。その夢を実現するためには、宿泊料金が払えるだけの財力と、長期休暇しても支障がない職場体制と、余裕のある生活習慣を身につけなければなりません。来年までの1年間にどれだけ夢に近づけるか、挑戦したいと思います。