世界の富裕層はイベントを求めて一年を同じスケジュールで旅するといいます。1月はスイスのサンモリッツにスキーへ、5月はモナコにF1観戦へ、7月は夏の日差しを求めて地中海のイビサ島へ、8月はオーストリアのザルツブルク音楽祭、11月にはフランス・パリの凱旋門賞へ、というように・・・。これを「ハイライフカレンダー」というのだそうです。
これと同じように、わが国のアマチュア野球界にもハイライフカレンダーがあるのをご存じでしょうか?4月、9月は神宮球場に東京六大学野球観戦へ、7月は東京ドームに都市対抗野球観戦へ、8月は甲子園に高校野球観戦へ、11月は京セラドーム大阪に社会人野球日本選手権へ、最後、神宮球場にもどって明治神宮野球大会を観戦しに旅することをいいます。
日本人にとってみれば、こちらのほうがよっぽど贅沢な旅ではないでしょうか?少なくとも、ぼくにはそう思えて仕方ありません。
さあ、最高の贅沢を求めて、「アマチュア野球界のハイライフカレンダー」に沿って出発です!
最後の打者が泣きながら一塁にヘッドスライディングする
過剰に熱い夏の風物詩がやってくる・・・
この日(7月13日、土曜日)、朝目が覚めて「今日はどこの旅地へ向かおうか?」とネットで試合会場を検索してみました。一瞬にして目が釘付けになる球場がありました。八王子市「スリーボンドベースボールパーク上袖木」の試合予定に、な、なんと、「わが母校」の校名を目にしたのです。この旅を始めてから、いつかは母校の試合を観戦したいと夢見てきました。しかし、さすがに土日の休日しか足を運べないし、そう都合よく試合が組まれるはずもないしで機会がありませんでした、夢は遠い遠い夢でした。ところが、昨日の大雨で当初の試合が中止になり、運良く土曜日の今日に延期になったようです。「これは、野球の神様の粋な計らいかも」小躍りして出発の支度を始めました。
今日向かう旅地は、初めて聞く地名であり、初めて足を踏み入れる土地でした。地図を検索すると、京王相模原線「南大沢駅」の裏手にあるようです。期待に胸を高鳴らせ隣駅・聖蹟桜ヶ丘駅からバスに乗ること40分。南大沢駅に到着しました。暑い中、道に迷って汗だくになるのは嫌なので、少しお金はかかりますがタクシーに乗ることにしました。運転手に「スリーボンドベースボールパーク上袖木」と行き先を告げると、ニコッと笑って「おっ、甲子園に向けての戦いですね」と言われました。
駅から5分足らずで球場に到着しました。降り際に、運転手から「行けるといいですね」と言われました。わたしは、どこの高校のファンでもないので「観戦する」という中立な立場で観ています。しかし、今日ばかりは中立ではいられず「応援する」という立場になります。「そうだと良いんですけどね」と答えておきました。
球場の裏側はこんな感じ。駅前は「三井アウトレットパーク」や「イトーヨーカドー」があって、それなりの賑わいがあります。でも、ちょっと裏手に回れば、このような原始的な多摩の風景が広がっていました。こういう環境にある球場です。
1000円の入場料を払い、いざ、球場内へ!
・・・ううっ、まったく屋根がない。これは直射日光を浴びまくってのツラい応援になりそう。
卒業したのが、昭和62(1987)年ですから、母校の学生を目にするのは、じつに37年ぶり。わたしが在籍していた頃は、閑静な住宅街にあったため騒音問題があって野球部はありませんでした。さあ、今日は母校愛にあふれる在校生やOBたちでさぞかし大応援団が形成されているに違いありません・・・。もしかすると、懐かしい同期たちの顔を見られるかも・・・。でも、もしかすると、もう席が埋まっているかも・・・。座れる席がなかったらどうしよう・・・。胸の高鳴りを必死に抑えながら1塁側応援席に向かうと・・・
ん、んんー!? なんと応援席にいるのは・・・いち、にい、さん・・・9人!
秒で数えられる人数・・・ま、まあ、今日はまだ1回戦だし、真夏の暑さがあるしで集まりが悪いのでしょう(汗)。勝ち進んでいけば、刺激を受けて母校愛がさく裂し、いっぱいの応援団でごった返すに違いありません。今日は、彼らの分までわたしが責任をもって応援したいと思います。がんばれ-!
あっちゃー、いきなり4点とられたよ。がんばれー!
じわじわ、きやがる。がんばれー!
ユニフォームは白地に臙脂色の早稲田カラーでした。あんまり臙脂色のイメージないんですけどね。どちらかというと紺色のイメージ。
色5回表まで6ー0。裏に4点とられて10点差つけばその時点でコールド負け成立になります。がんばれー!がんばれー!「ま、そんな都合悪いことはめったに起きないだとう」とたかをくくっていたら、なんとぴったんこその4点が入ってしまいました。痛恨のコールド負けです(涙)
残念。みんなに会えるのは、また来年のお預けに。
勝った側の啓明学園。試合後、学校の同級生に囲まれて、わいわいやっていました。良い光景です。おじさんには、とっくのとうに失われた、二度と帰ってこない心象風景に見えます。
ヒマワリが咲いていました。球場といっしょにパシャリと。野球観戦と同時並行してヒマワリの花巡りを始めないと。けっこう忙しくなりますね。